DeepSeekが「値上げを予告」してからピーク課金制に──公式価格表で確認できる現行料金と、確認できなかった値上げ幅
DeepSeekは2026年8月6日、API料金の値上げを予告する通知を出し、その後ピーク・オフピークの2段階課金制を導入した。公式価格表によると、deepseek-v4-proの出力トークンはピーク時1Mあたり3.96ドル・オフピーク時1.98ドル。ピーク時間は月〜金のUTC 01:00-04:00と06:00-10:00。一方「10倍超に値上げされた」という一部報道の数字は、原文が確認できず本記事には含めていない。

目次
「安さ」を売りにしてきたDeepSeekのAPIが、2026年8月に料金体系を変えた。当サイトもDeepSeek V4-Flash-Vision-Exp公開時の記事で当時の料金を紹介しているが、その後の値上げ予告と料金改定を、公式価格表ベースで確認しておく。
- DeepSeek公式のChange Logを直接確認すると、値上げの予告は「2026年8月13日」の「DeepSeek-V4-Pro Update」エントリの中に**「API Pricing Adjustment」**として含まれていた。TechNode等が伝える「8月6日」という日付は、この記事では公式の一次資料からは確認できなかった
- ピーク・オフピークの2段階課金は2026年8月16日16:00 UTC発効。オフピーク料金はピーク料金のちょうど半額で、DeepSeek公式は「実際の使用状況に応じてタスクのスケジューリングを促す」ことが狙いだと明記している
- 「何倍値上げされたか」という具体的な倍率は、DeepSeek公式のChange Log・価格表のどちらにも記載がなく、この記事では確認できた現行料金のみを掲載する
何が起きたか(時系列)
- 8月13日:DeepSeek公式Change Logの「DeepSeek-V4-Pro Update」エントリに「API Pricing Adjustment」の告知が含まれる。「DeepSeek V4モデルファミリーの正式リリースに伴い、API価格を更新・調整する」「リソースをより合理的に配分するため、ピーク/オフピーク課金を採用し、オフピーク価格はピーク時価格の半額に設定する」「新価格は2026年8月16日16:00(UTC)に発効する」と明記されている。これがこの記事で確認できた唯一の公式一次資料による値上げ告知であり、TechNodeが報じる「8月6日」の通知とは日付が一致しない(2026年9月4日にTechNode記事を再取得したところ、会員限定ではなくHTTP 200で全文が読めた。本文は「DeepSeek said in a notice that it plans to raise prices for its API services soon, warning users that the increase could be substantial. The company has not published a new price schedule」=8月6日時点では値上げの予告のみで具体的な価格も発効日も出ていなかった、と書いている。8月6日の予告と8月13日の具体的な告知は矛盾ではなく、予告→詳細発表の2段階だった)
- 8月13日ごろ:値上げが実施されたと複数媒体が報道(Bloomberg・InfoWorldの報道内容自体は本記事では未確認)
- 8月16日16:00 UTC発効:ピーク・オフピークの2段階課金制が導入(公式Change Logの記載と一致。この点は既存記事でも扱い済み)
- 8月22〜23日ごろ:再改定があったとされる(詳細未確認)
公式価格表で確認できる現行料金(2026年8月27日確認)
DeepSeek API公式ドキュメントの価格表は次の通り(単位:100万トークンあたりのドル)。
| モデル | 入力(キャッシュヒット)オフピーク/ピーク | 入力(キャッシュミス)オフピーク/ピーク | 出力 オフピーク/ピーク |
|---|---|---|---|
| deepseek-v4-flash | $0.007 / $0.014 | $0.22 / $0.44 | $0.66 / $1.32 |
| deepseek-v4-pro | $0.022 / $0.044 | $0.66 / $1.32 | $1.98 / $3.96 |
| deepseek-v4-flash-vision-exp | $0.007 / $0.014 | $0.22 / $0.44 | $0.66 / $1.32 |
- ピーク時間帯は月〜金のUTC 01:00-04:00と06:00-10:00(日本時間だと月〜金の10:00-13:00と15:00-19:00に相当)。それ以外の時間はすべてオフピーク
- オフピーク料金はピーク料金のちょうど半額
- 同時実行数の上限は、v4-flash/v4-flash-vision-expが2,500、v4-proが500。公式ドキュメント「Rate Limit & Isolation」によると、この上限はアカウント単位(使用するAPIキーに関わらず)で計算され、超過するとHTTP 429エラーが返る。より高い同時実行数が必要な場合は追加費用なしで拡張申請ができる、と明記されている
- v4-flash-vision-expに送る画像は、寸法に応じてトークン換算され、テキストトークンと合算して入力トークンとして課金される
DeepSeekは価格表の注記で「製品価格は変動することがあり、実際の使用量に基づいたチャージと、最新の価格情報を定期的に確認することを推奨する」と明記している。つまり今後も改定がありうる前提の価格表であることは公式も認めている。
「何倍値上げされたか」は公式には出ていない
事前の報道では「V4系の一部価格が10倍超になった」という数字が伝えられているが、これはBloomberg・InfoWorldの報道に基づくもので、本記事では原文を確認できていない。DeepSeek公式の価格表には現行の料金のみが掲載されており、「値上げ前と比べて何倍になったか」という比較は公式ページには記載がない。したがって本記事では「10倍」という数字は採用せず、確認できた現行の実額のみを記載した。
なお、DeepSeekの売上が7カ月で10倍の4.75億元に伸び、API粗利率が83%近くに達したという報道(8月26日)もあるが、こちらも本文は未確認のため参考情報にとどめる。
使う側にとっての実務ポイント
- バッチ処理やコスト最適化が可能な用途は、UTC 01:00-04:00/06:00-10:00(日本時間の日中〜夕方)を避けてオフピーク帯に寄せると、単純計算で料金が半額になる
- v4-proは v4-flash と比べて出力トークン単価が概ね3倍。精度が必要なタスクでない限り、v4-flashで足りるかを先に検討したほうがコスト効率はよい
- キャッシュヒットの入力料金はキャッシュミス比で約30分の1(v4-pro:$0.022 vs $0.66、オフピーク時)。同じプロンプトを繰り返し送るユースケースでは、プロンプトキャッシュの活用が料金に直結する
値上げと同時期に何が変わったか(公式Change Log全文より)
値上げの告知が含まれる「8月13日」のChange Logエントリには、価格改定以外の変更点も同時に記載されている。公式Change Log全文をあらためて確認すると、次の3点が同じ日付でまとめて発表されていた。
- DeepSeek-V4-ProのGA(正式版)リリース:APP・Web・APIで同時展開。API呼び出し方法自体は変わらず、
modelをdeepseek-v4-proに指定すれば最新版が使われる - Responses API(OpenAI形式)へのネイティブ対応:Codex向けに特化して調整されており、ワンクリック設定スクリプトも用意されているという
- thinkingモードの制御が3段階に:V4-Pro・V4-Flashとも、thinkingの深さを
low/high/maxの3段階から選べるようになった。簡単なタスクはlow、日常的なAgentタスクはhigh、複雑なタスクはmaxという使い分けが公式に推奨されている
さらにChange Logには、ベンチマークスコアの推移も記載されている。公式が発表した数値をそのまま引用する(すべて同じChange Logページから)。
| モデル | 発表日 | Terminal Bench 2.1 | HLE (w/tools) | DSBench-Hard | Agents' Last Exam |
|---|---|---|---|---|---|
| DeepSeek-V4-Flash(0731) | 2026-07-31 | 82.7 | ― | 59.6 | 25.2 |
| DeepSeek-V4-Pro(GA・0813) | 2026-08-13 | 87.9 | 60.0 | 67.2 | 25.7 |
| DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp | 2026-08-21 | 83.9 | ― | 63.6 | 27.3 |
(出典:DeepSeek公式Change Log。HLEは「w/tools」=ツール使用ありの数値。V4-Flash-Vision-Expのエントリでは「マルチモーダル理解を要するAgentベンチマークではV4-Flashから大きく伸び、Opus-4.8に近い水準」という比較コメントが公式に付記されている)
なお同じChange Logの2026-04-24エントリには、旧モデル名deepseek-chat・deepseek-reasonerについて「3ヶ月後(2026-07-24)に廃止する」という記載があり、この記事で扱っている8月時点の料金改定より前に、すでに旧モデル名の呼び出しは終了していたことになる。
Anthropic形式のエンドポイントも用意されている
公式価格表のモデル詳細表には、BASE URLが2種類記載されている。OpenAI形式がhttps://api.deepseek.com、Anthropic形式がhttps://api.deepseek.com/anthropicで、いずれもv4-flash・v4-pro・v4-flash-vision-expの全モデルで両方の形式に対応している(CONTEXT LENGTHはいずれも1M、MAX OUTPUTは最大384K)。Claude API互換のクライアントから接続先を切り替えるだけでDeepSeekモデルを呼び出せる構成になっている。また価格表ページの「Deduction Rules」には、利用料金は「トークン数×単価」で計算され、チャージ残高(topped-up balance)と付与残高(granted balance)の両方がある場合は付与残高から優先的に差し引かれる、という課金順序も明記されている。
TechNodeの「8月6日」を公式Change Logでは裏付けられなかった
本記事で断定的に書けたのは、DeepSeek公式価格表(curlで確認・HTTP 200)に載っている現在の料金と、公式Change Log(同じくcurlで確認)に明記されている告知日・発効日時のみ。TechNode記事が伝える「8月6日」の値上げ予告は、公式Change Log上では確認できず、代わりに8月13日のエントリ内に同内容の告知が含まれていることが分かった——この日付の食い違い自体が何に起因するか(TechNode側の誤り、非公開の予告が別途あった可能性、翻訳・タイムゾーンのズレ等)は特定できていない。値上げの具体的な倍率、8月22〜23日の「再改定」の中身、7カ月で売上10倍・粗利率83%という数字は、いずれも一次ソースや本文を確認できなかったため本記事には含めていない。
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