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オンデバイスAIとは──iPhoneのApple IntelligenceとAndroidのGemini Nano、仕組みの違い

オンデバイスAIは、クラウドに送らずスマホ・PC上でAIモデルを直接動かす仕組み。iPhoneはApple Intelligenceの対応をiPhone 15 Pro以降・7GBのストレージ確保に限定し、AndroidはGoogleのAICoreというOSレベルのシステムサービスがGemini Nanoの配布・実行を一手に引き受ける。「ネットワーク不要・データを外に出さない」という共通の狙いに対し、両社は全く異なるアーキテクチャで実装している。

オンデバイスAIとは──iPhoneのApple IntelligenceとAndroidのGemini Nano、仕組みの違い
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「オンデバイスAI」とは、生成AIの推論をクラウドのサーバーではなく、手元のスマホやPCの中で完結させる仕組みのことだ。ネットワークが無くても動く、送信データが外部に出ないという2点が主なメリットとされる。iPhoneのApple IntelligenceとAndroidのGemini Nanoは、同じ「オンデバイス」という看板を掲げながら、実装のアーキテクチャは対照的だ。

3行まとめ

  1. Apple Intelligenceは「対応チップのiPhone/iPad/Mac」に限定され7GBのストレージが必要な一方、Gemini NanoはAndroidのAICoreというシステムサービスが全アプリ共有の単一モデルとして配布・管理する
  2. Google公式ドキュメントを確認すると、Gemini Nanoにはnano-v2・nano-v3・nano-v4という複数バージョンがあり、対応端末はGoogle Pixelだけでなく、Samsung・Xiaomi・OnePlus・Honor・OPPO・vivo・Motorola・Sony・Sharpなど多数のAndroidメーカーの機種にまたがっている
  3. Apple Intelligenceは1メーカー(Apple)内で完結するのに対し、Gemini Nanoは1つのGoogle製AIモデルを多数のサードパーティ製Android端末に配布する、まったく異なる流通モデルを取っている

iPhone・iPad・Mac側──Apple Intelligence

Apple公式サポートページによると、Apple Intelligenceの対応機種は次の通り明記されている。

  • iPhone: iPhone 15 Proシリーズ、およびiPhone 16シリーズ以降
  • iPad: iPad mini(A17 Pro搭載モデル)、M1以降を搭載したiPadモデル
  • Mac: Apple Siliconを搭載したMac全機種
  • Apple Vision Pro
  • Apple Watch: Series 6以降・全Ultraモデル・SE第2世代以降(Apple Intelligence対応iPhoneとのペアリングが必要)

必要条件として、7GBのデバイスストレージ、対応OS(iOS 18.1以降等)、デバイス言語とSiri言語が同じ対応言語に設定されていることが挙げられている。オンデバイスモデルは機能をオンにした後にダウンロードされ、オフにするとデバイスから削除される。日本語はiOS 26.1・iPadOS 26.1・macOS 26.1以降で対応言語に含まれている。詳しい機種別のできることはApple Intelligence機能一覧の記事にまとめているので、本記事ではここでは深追いしない。

Android側──Gemini NanoとAICore

Android公式ドキュメント(developer.android.com)は、Gemini Nanoをこう説明している。

"Gemini Nano lets you deliver rich generative AI experiences without needing a network connection or sending data to the cloud. [...] Gemini Nano runs in Android's AICore system service, which leverages device hardware to enable low inference latency and keeps the model up-to-date."

ここでのポイントはAICoreというOSレベルのシステムサービスの存在だ。Apple Intelligenceが「対応機種でOSアップデート後にモデルをダウンロードする」形なのに対し、Androidの設計はGemini Nanoの配布・更新・ハードウェアアクセラレーションの管理をすべてAICoreというシステムサービス1つに集約している。公式ドキュメントはAICoreのメリットを次の2点で説明している。

  • 導入の容易さ: AICoreがGemini Nanoの配布と今後の更新を管理するため、アプリ開発者はモデルのダウンロードやディスク・メモリ予算への影響を心配する必要がない
  • 推論の高速化: AICoreがデバイス側のハードウェアを活用して推論を高速化するため、開発者はハードウェアインターフェースを意識せずに、デバイスごとの最良のパフォーマンスを得られる

アプリ開発者向けには、Gemini Nanoを直接使うのではなく、その上に構築された「ML Kit GenAI APIs」という高レベルなAPI群も用意されている。ML Kit公式ページを今回curlで取得すると、このアーキテクチャのメリットについてもう一段踏み込んだ説明があった。

"every app is able to use the shared Gemini Nano model that is on the device. This avoids the need to have to wait for a model to be downloaded if it already exists on a device, and in turn conserves storage space."

すべてのアプリが、端末上にある「共有された」単一のGemini Nanoモデルを利用できる、という設計だ。アプリごとに個別のモデルをダウンロードする必要がないため、ストレージを節約できるとされている。この「1台に1モデル、全アプリ共有」という設計が、Apple Intelligenceのように単一の固定容量(7GB)を明示できない理由のひとつと考えられる——実際にどれだけの容量を使うかは、端末にすでにダウンロード済みかどうか、後述するモデルのバージョンによって変わるためだ。

Gemini Nanoは1種類ではない──nano-v2/v3/v4という複数バージョン

ML Kit公式ページの「Device support」節をcurlで確認すると、Gemini Nanoにはnano-v2・nano-v3・nano-v4という複数のバージョンが存在し、対応端末によって搭載されているバージョンが異なることがわかる。抜粋すると次の通りだ。

バージョン 搭載されている端末の例(一部抜粋)
nano-v2 Honor Magic V5/7/7 Pro、iQOO 13、OnePlus 13/13s、Samsung Galaxy Z Fold7、Xiaomi 15シリーズ など
nano-v3 Google Pixel 9/10シリーズ、Honor Magic 8 Pro、Samsung Galaxy S26シリーズ、Sony Xperia 1 VIII など
nano-v4 Google Pixel 11シリーズ、Samsung Galaxy Z Flip8/Fold8/Fold8 Ultra

さらに対応メーカー自体も、Googleだけでなく、Honor・iQOO・Lenovo・Motorola・OnePlus・OPPO・POCO・realme・Samsung・Sharp・Sony・vivo・Xiaomiと多岐にわたる。Apple IntelligenceがApple 1社の製品ラインナップの中で完結しているのに対し、Gemini Nanoは1つのGoogle製モデルが多数のサードパーティ端末メーカーに配布されるという、まったく異なる流通構造を取っている。ただし、この対応端末リストは「with plans to expand support to additional devices(今後さらに対応端末を拡大予定)」という注記付きであり、今回確認した時点でのスナップショットにすぎない。

2つのアーキテクチャの違い

Apple Intelligence(iPhone/iPad/Mac) Gemini Nano(Android)
配布の主体 OS(iOS/iPadOS/macOS)アップデート後にオンデマンドでダウンロード AICoreというシステムサービスが集中管理
対応条件 特定のチップ世代(iPhone 15 Pro以降・M1以降等)に限定 AICore経由。Google Pixelに加え、Samsung・Xiaomi・OnePlus・Honor等の対応機種で、搭載バージョン(nano-v2/v3/v4)も端末ごとに異なる
ストレージ 7GB必要(固定値として明記) 全アプリ共有の単一モデルのため、公式ドキュメントに固定のGB数値は明記されていない
アプリ開発者向けの窓口 Foundation Modelsフレームワーク ML Kit GenAI APIs(AICore上に構築)

いずれの方式にも共通するのは、「モデルをアプリごとに個別配布するのではなく、OS側が一元管理する」という設計思想だ。iOS・Android双方とも、AIモデルをもはやアプリの付属物ではなく、OSの構成要素として扱い始めている、と読める。

推論速度など性能の直接比較データは見つからなかった

  • 本記事はApple公式サポートページ(機種要件)とGoogle公式ページ(Gemini Nano・AICore・ML Kit GenAI APIsの概要と対応端末一覧)を一次資料としている。両者の推論速度・モデルサイズ・パラメータ数といった技術的な性能比較は、今回参照したページには記載がなく確認できなかった
  • Gemini Nanoの対応端末一覧は取得できたが、これは「Summarization・Proofreading・Rewriting・Image Description」の4機能特化APIと「Prompt API」とで対応端末リストが別々に示されており、この記事では両方の一覧を細部まで突き合わせてはいない。また各端末に搭載されているチップ(Snapdragonのどの世代かなど)とnano-v2/v3/v4の対応関係も、公式ページには明記されていなかった
  • 「Mac」を含めた3プラットフォーム比較というタイトルの枠組みに対し、Mac側のオンデバイスAIはiPhone/iPadと同じApple Intelligenceの枠組みで動いており、Mac固有の追加要件は今回の取得範囲では見当たらなかった
  • ML Kit公式ページの対応端末リストには「今後さらに対応端末を拡大予定」という注記があり、この記事に載せた表は2026年8月29日時点のスナップショットにすぎない。実際に自分の端末で動くかどうかは、この記事の一覧だけで判断せず公式ページを直接確認してほしい

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