AI時短ラボ
プロダクト· 約11

OpenAI「Agents API」パブリックベータ──Codexを動かしているハーネスとサンドボックスをAPI1回で借りる。文脈の自動圧縮・ツール検索・既定6並列のサブエージェント、環境はOpenAIホスト/自社/提携9社から、追加料金はコンテナ代(1GB 20分$0.03)

OpenAIは2026年9月10日、CodexとChatGPT for Workを支えるエージェント用ハーネスとインフラを開発者に開放する「Agents API」のパブリックベータを公開した。タスク・モデル・ツール・環境を指定して1回のAPI呼び出しでセッションを作ると、OpenAIがハーネスの運用・文脈の自動圧縮・ツール検索・サブエージェントの並列化(既定で同時6)を引き受ける。実行環境はOpenAIホストのサンドボックス(CodexやChatGPTと同じ基盤)、自社インフラ、またはBlaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercelの提携先。料金は使うモデルのAPI単価+ツール+コンテナ代(1GBで20分$0.03〜64GBで$1.92)。ハーネスはオープンソースのCodexが土台。Ciridae社は評価スコア0.71→0.85、遅延4分の1と語る(OpenAIのブログ掲載)。

Introducing the Agents API(OpenAI公式の画像)
執筆・編集:
目次

2026年9月17日・日本時間時点の情報です。 OpenAIが9月10日、「Agents API」のパブリックベータを公開した。自分でエージェントの骨組み(ハーネス)を書く代わりに、CodexとChatGPT for Workを動かしているものと同じハーネスとインフラを、APIの呼び出し1回で借りる、という製品である。当サイトは公開から1週間たって扱うが、AnthropicのClaude Managed Agentsと対になる製品なので、公式ブログ(日本語版が公式に出ている)とドキュメントから、何を引き受けてくれるのか、環境はどこで動くのか、いくらかかるのかを整理する。

3行まとめ

  1. 何を引き受けるか。 セッション管理・オーケストレーション・文脈の自動圧縮(上限に近づくと以前の文脈を圧縮して続行)・ツール検索(必要なツール定義だけを読み込む)・プログラムによるツール呼び出し(並列実行・連結・結果の絞り込み)・サブエージェント(既定で同時6・コーディネータを除く)を、OpenAIが運用するハーネスがやる。ハーネスはモデルの新版に合わせてOpenAIが保守し、土台はオープンソースのCodex。
  2. どこで動くか。 環境はnoneopenai_hosted(CodexやChatGPTと同じサンドボックス基盤。ファイル・パッケージ・スキル・プラグインを設定可)/self_hosted(自社インフラ・VPC内)。提携先はBlaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercelの9社。
  3. いくらか。 使うモデルのAPI単価(例のコードはgpt-6-astra)+組み込みツールの標準料金+OpenAIホストのサンドボックスはコンテナ代(料金ページの「Containers」行: 1GB $0.03、4GB $0.12、16GB $0.48、64GB $1.92を、コンテナごとに20分のセッション単位で)。Agents API自体の追加料金は書かれていない。

何が出たのか

公式ブログ(日本語版)の位置づけを引く。

本日、Codex を支えるものと同じハーネスとインフラを、シンプルで柔軟な API を通じて開発者に提供する Agents API のパブリックベータ版を公開します。

ドキュメントの「Core concepts」は4つ。Agent(モデル・指示・ツール・MCPサーバー)、Environment(ファイル・スキル・コマンドを扱うサンドボックスまたはコンピュータ。任意)、Session(タスクに取り組み、入力に応答するエージェントの永続的な実体)、Events and items(送った入力と、セッション中の出力)。流れは、セッションを作る→タスクを与える→ストリームかWebhookで進み具合を追う→同じセッションに次のタスクを送るか、途中で舵を切る。

ブログの例は、gpt-6-astraにMCPサーバー(observability)を1つ渡し、multi_agent: { enabled: true, max_concurrent_subagents: 3 }で、「service-apiの直近30分の5xx増加を調査し、デプロイ・エラー・依存関係の分析をサブエージェントに委任し、所見と証拠と対処案を/workspace/outputsに保存せよ」と1回で頼むもの。ドキュメントのショーケースには、インシデント対応、Slackボット、読み取り専用SQLのデータ分析、GitHub issueの再現、ポリシースキルつきの文書レビューの5つの完成アプリが並ぶ。

ハーネスが引き受ける4つのこと

機能 ブログ・ドキュメントの記述
長時間セッション 文脈の上限に近づくと、Agents APIが以前の文脈を自動で圧縮(コンパクション)し、続行に必要な情報を保持。開発者が独自の圧縮ロジックを書かなくても、複数のコンテキストウィンドウにまたがる作業ができる
ツール検索 必要に応じて関連するツール定義を読み込み、モデルのキャッシュを保ちながらトークンと費用を減らす
プログラムによるツール呼び出し 呼び出しの並列実行、関連処理の連結、コード内での結果の絞り込み・統合。大量のデータを処理して関連する結果だけを文脈に戻す。MCP・カスタム関数・ウェブ検索などの組み込みツールに対応
サブエージェント 複雑なタスクを独立した要素に分け、並列のサブエージェントに委任。各サブエージェントは自分の文脈を持ち、メインが調整してまとめる。max_concurrent_subagents既定は6(コーディネータを除く)

「モデルの新機能を活用するにはハーネスの作り直しが必要になることが多い」ので、モデルのリリースごとにバージョン管理されたハーネスを提供し、OpenAIが保守する、というのが売りである。ハーネスの中核はオープンソースのCodex(GitHub)で、開発者はコードを読める。

環境の3択と提携先9社

環境 誰が用意するか 向き(ブログの記述)
openai_hosted OpenAIがプロビジョニングと管理。CodexとChatGPTを支えるサンドボックス基盤 迅速に導入してスケールしたい開発者
self_hosted 自社インフラ・VPC内。エグゼキュータを接続 ファイルやシークレットの置き場所、CPU・GPU・メモリ構成を選びたい企業
提携サンドボックス Blaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercel 性能・コールドスタート・コストの特性で選ぶ
none 環境なし ファイルやコマンドを使わないエージェント

料金

ドキュメントの「Pricing」節は3文で、Agents API固有の料金は無い。モデルの利用は選んだモデルのAPI単価、OpenAIのツールは標準料金、OpenAIホストのサンドボックスは「標準のコンテナ料金」。料金ページのContainersの行は次のとおり。

メモリ コンテナ1つ・20分セッションあたり
1 GB $0.03
4 GB $0.12
16 GB $0.48
64 GB $1.92

GBは2の30乗バイト(GiB)。組み込みツールで使うトークンは選んだモデルの単価で課金される。サブエージェントを6つ並列で回せばモデルのトークンは6倍近く出るので、Claude Managed Agentsが用意したドル建ての上限(Session Budgets)に相当する仕組みがAgents APIにあるかは、本記事の時点で確認していない。

導入企業のコメント

ブログにはCiridae、Long Lake、WithCoverage、SafetyKit、Dwelly、Hypha、deepsense.ai、Nash.aiの8社が並ぶ。本文に引かれたのはCiridaeのCTOのコメントで、「評価スコアは0.71から0.85に向上」「新しいAPIによってレイテンシを4分の1に短縮」「以前の構成ではサブエージェントの監視とオーケストレーションがかなり煩雑」とある。いずれもOpenAIのブログに載った各社の申告で、当サイトが検証したものではない。

筆者の見方──Codexの「AGENTS.mdは減らせ」と同じ方向

筆者はCodexでGPT-6 Astraを使っており、9月11日の公式ブログ「Rethinking skills and prompts」が「skillやAGENTS.mdは足すより減らせ」と書いたことを記事にしている。Agents APIはその延長で、「ハーネスも自分で足すな、こちらが保守する」という製品に見える。自分でハーネスを組んで運用してきた開発者にとっては、モデルの版が変わるたびに直してきた圧縮やツール呼び出しの部分を手放せるかどうか、が判断点になる。一方で、9月16日にOpenAI自身が不整合の報告6件で「作業要約に自分宛ての『隠せ』指示を書く」事例を公開しており、その要約こそAgents APIが自動でやる「圧縮」である。ハーネスを借りるということは、その挙動の監視もハーネス側に委ねることになる。ここは筆者の見方で、Agents APIの圧縮がその事例と同じ仕組みかどうかは公開情報からは分からない。

まだ呼んでいないAPIについて書いた、その限界

  • 筆者はAgents APIをまだ呼んでいない。挙動の記述はすべて公式ブログとドキュメントによる
  • パブリックベータの提供地域、データ保持(ゼロデータ保持の可否)、レート制限は、本記事で読んだ範囲のドキュメントに無い
  • サンドボックス提携先9社それぞれの料金は各社側で、本記事では見ていない
  • Claude Managed Agentsとの機能比較は、両者のドキュメントを並べて読む必要があり、本記事では「対になる製品」と位置づけるにとどめた

公式日本語版ブログとドキュメント3ページ

  • 製品の説明・引用・導入企業のコメントは、OpenAI公式ブログ「Agents API のご紹介」(日本語版・2026年9月10日)。当サイトが9月17日にブラウザで取得
  • 概念・環境・料金の記述は、OpenAI Developersのドキュメント(overview/configuration/multi-agent)とAPI料金ページ(いずれも9月17日にcurlで取得)
  • 本記事は続報があれば更新する。正式版への移行、料金の追加、Managed Agentsとの比較を追記する
シェア: ポスト はてブ

出典・参照資料

AIニュースの解説を動画でも

YouTubeでは注目ニュースの背景を解説し、Xでは新着記事をお知らせしています。

コメント

まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?

AIについて聞きたいことはありますか?

質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。

質問箱を見る →

新しい記事をメールで受け取る

AIの新しい発表を、出典付きで整理して届けます。

関連記事

エージェントの暴走課金にドル建ての上限を──Claude Managed AgentsのSession Budgetsの記事画像
プロダクト09.04読了12

エージェントの暴走課金にドル建ての上限を──Claude Managed AgentsのSession Budgets

出典 ─ Claude Managed Agents公式ドキュメント
Claude Managed Agentsがリポジトリの.claude/skillsを自動で読むようになった──公式ドキュメントが明記する信頼境界の警告の記事画像
検証09.01読了18

Claude Managed Agentsがリポジトリの.claude/skillsを自動で読むようになった──公式ドキュメントが明記する信頼境界の警告

出典 ─ Claude Managed Agents 公式ドキュメント
GPT-6 Astra公式ページの比較グラフ(Terminal-Bench Science 0.1)
モデル09.19読了12

GPT-6 Astraとは──開発停止から公開、プラン別の使い方、料金、公式ガイド、独立指標、Fable 5.1との比較まで、当サイトの記事12本を1ページに(随時更新)

出典 ─ OpenAI公式ブログ(2026-09-03)
GPT-6 Astra公式ガイドの続き──OpenAI開発者ブログ「Rethinking skills and prompts」全文解説、skillとAGENTS.mdは足すより減らせの記事画像
活用09.12読了23

GPT-6 Astra公式ガイドの続き──OpenAI開発者ブログ「Rethinking skills and prompts」全文解説、skillとAGENTS.mdは足すより減らせ

出典 ─ OpenAI Developers Blog(2026-09-11)
Your Agent Aced the Task. Will It Do It Again?(IBM Research・Hugging Faceブログの画像)
研究09.21読了11

AIエージェントは同じ課題を5回やって全部成功するか──IBM Researchが「Pass^k」で測ると、平均77.4%のエージェントの全回成功は53.0%。温度0でも起きる24.4ポイントの「一貫性ギャップ」を、自分の記録から作ったガイドラインで半減

出典 ─ IBM Research(Hugging Face Blog・2026-09-15)
Codexのターミナルから「@」で別タスクを参照──読み取り・作成・メッセージ送信までエージェントに頼めるの記事画像
プロダクト09.05読了11

Codexのターミナルから「@」で別タスクを参照──読み取り・作成・メッセージ送信までエージェントに頼める

出典 ─ openai/codex rust-v0.1
OpenAIが「Codex」の実行の仕組みを丸ごと公開──ARC-AGI-3のスコアが2つの設定変更だけで3倍になった話もの記事画像
プロダクト08.20読了9

OpenAIが「Codex」の実行の仕組みを丸ごと公開──ARC-AGI-3のスコアが2つの設定変更だけで3倍になった話も

出典 ─ OpenAI Developers Blog
Codexの使い方【2026年9月版】──CLI・IDE拡張・デスクトップ・クラウドの4つの入口、インストールとログイン、プランごとの5時間あたりの目安(Astra/Sol/Terra/Luna)、AGENTS.md・権限・Goal Mode・Auto-review、知っておくべき不具合までの記事画像
活用09.22読了18

Codexの使い方【2026年9月版】──CLI・IDE拡張・デスクトップ・クラウドの4つの入口、インストールとログイン、プランごとの5時間あたりの目安(Astra/Sol/Terra/Luna)、AGENTS.md・権限・Goal Mode・Auto-review、知っておくべき不具合まで

出典 ─ OpenAI公式ドキュメント(2026年9月18日取得)